契約書・契約トラブルに関する法律問題
我々が日常的に行っている物の売買、賃貸、サービスの依頼等は基本的に契約に基づいて成り立っています。
このように我々は日常的に第三者と契約を締結していることになりますが、購入した物が十分な品質を有していなかった、サービス料として高額の請求をされたなど、契約に関するトラブルは後をたちません。
本記事では、契約に関するトラブルとしてどのような事例が存在するのか、契約に関するトラブルを防止するためにどのような点に気をつけるべきか解説していきます。
そもそも契約とは
契約とは簡単に言うと法的に保護される約束のことを指します。
法律上、契約は申し込みと承諾の意思表示の合致により成立します。
つまり、物の売買を例にとると、「物を売ってください」という申し込みの意思表示に対して、「分りました。売りましょう。」という承諾の意思表示がなされれば、売買契約が成立したことになります。
契約に際しては、多くの場合契約書が作成されますが、法律上、契約書の作成は契約の成立要件ではありません。
契約に関するトラブルの例
契約に関するトラブルとしては、まず、①契約において定められた義務を当事者が履行しないケースが挙げられます。
例えば売買契約を例にとると、引き渡された物が契約に定められた品質を有していなかったり、契約において定められた期限に物が引き渡されない場合などがこれにあたります。
また、②契約の内容が不明確であるがゆえに、そもそも当事者の義務の内容が明らかでないケースも存在します。
借主がどの範囲の費用を負担するか契約において明記されていないために、費用負担をめぐってトラブルになるケースなどがこれに該当します。
契約書作成の重要性
上述のように、口頭での約束でも契約は成立しますか、契約に関するトラブルを防止するためには、契約書を作成することが非常に重要ということができます。
契約書を作成するメリットとしては、具体的に以下のようなものが挙げられます。
①明確性
口頭のみの約束により契約を締結した場合、契約の内容に不明確な点があったとしても、当事者はそれを確認することができません。
したがって契約内容に関する誤解等が原因で、トラブルが発生してしまう可能性があります。
もっとも契約書を作成し契約の内容を明記しておくことにより、当事者が事後的に契約の内容を確認することが可能となりますので、トラブルの発生を防止することが期待できます。
また、契約の内容を書面にすることにより、契約当事者以外の第三者による確認が可能となりますので、弁護士等の専門家の指摘を受けることにより、不明確な条項や、トラブルに発展する可能性がある条項をあらかじめ是正することができるというメリットも存在します。
②立証性
仮に、契約の内容等をめぐって、当事者間のトラブルが訴訟に発展した場合、契約書は証拠として非常に重要な意義を有します。
後述するように、訴訟においては、署名押印がなされた契約書が存在する場合、原則として契約書に記載された内容通りの契約が成立していたものと認定されます。
契約書作成にあたっての注意点
では、契約書を作成するにあたり、どのような点に注意が必要なのでしょうか。
①署名押印を忘れない
訴訟において、書面を証拠として用いる場合、原則として当該書面が当事者によって作成されたものであることを証明する必要があります。
もっとも、民事訴訟法228条4項を参照すると、署名押印がなされた契約書等が存在する場合、当該契約書は、署名押印をしたものによって作成されたものと推定されます。
したがって契約書を作成する際には、署名押印を必ずするようにしましょう。
なお、契約締結の際には、同じ内容の契約書に通作成し、当事者がそれぞれ1通ずつ保管するのが通常ですが、いずれの契約書にも同様の印鑑を用いて押印をするようにしましょう。
②雛形を安易に用いない
昨今、インターネット上には様々な契約書の雛形がアップロードされています。
もっとも、このような雛形は、契約の個別的事情には着目せず作成されていることが通常ですので、当事者間の合意内容を明確化し、トラブルを防止するという契約書作成の目的を達成するためには、弁護士等の専門家のアドバイスを受けつつ、作成を行うのが望ましいと言うことができます。
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1965年 東京都(新宿区)出身 1988年 日本大学法学部政治経済学科卒業 1988年 米国(カリフォルニア州サンフランシスコ市)留学 1989年 一般企業(コンサルティングファーム)に就職 1997年 最高裁判所司法研修所入所(第51期) 1999年 司法修習修了、弁護士名簿登録(東京弁護士会) 2009年 当事務所開設 - 役職、所属団体等
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1998~2014年 日本大学法学部司法科研究室非常勤講師 1999年~ 東京弁護士会倒産法部会会員 2003年~ 東京弁護士会民事介入暴力対策特別委員会委員 2006年 東京弁護士会常議員(任期1年) 2006年 日本弁護士連合会代議員(任期1年) 2007~2009年 あずみ株式会社(名古屋証券取引所二部上場)社外取締役 2007~2010年 (公財)東京都暴力追放運動推進都民センター暴力追放相談委員 2009~2017年 東京弁護士会民事介入暴力対策特別委員会副委員長 2009年~ 事業再生実務家協会会員 2009年~ エステールホールディングス株式会社(東京証券取引所スタンダード上場)社外取締役 2012~2016年 (公財)東京都暴力追放運動推進都民センター不当要求責任者講習講師 2015年~ 株式会社ヴィレッジヴァンガードコーポレーション(東京証券取引所スタンダード上場)社外取締役 2015年~2019年 日本弁護士連合会民事介入暴力対策委員会委員 2017年~2019年 東京弁護士会民事介入暴力対策特別委員会委員長代行 2019年~2021年 東京弁護士会民事介入暴力対策特別委員会委員長 2019年~ 府中刑務所篤志面接委員 2019年~ 鎌ヶ谷市情報公開・個人情報保護審査会委員 - 主な講演
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・社内不祥事発生の際の、社内調査の方法とその限界 ・クレーマー対策について~最近の具体例から業種別の対応策 ・不動産賃貸業における暴力団排除 ・暴力団排除条例施行に伴う実務対応について ・半グレ等のいわゆるグレー属性の実態と対応について - 執筆
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・反社会的勢力リスク管理の実務(共著) ・暴力団排除と企業対応の実務(共著) ・離婚・離縁事件実務マニュアル改訂版(共著) ・反社会的勢力を巡る判例の分析と展開(共著) ・反社会的勢力を巡る判例の分析と展開II(共著) - 趣味
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