相続人調査は自分でできる?注意点も併せて解説
相続が発生すると、遺産分割協議や各種名義変更の前提として、法定相続人を正確に確定させる必要があります。
専門家に依頼する印象が強い手続きですが、相続人自身が行うことも可能です。
今回は、相続人調査の具体的な方法と注意点を解説します。
法定相続人調査は自分でできる
法定相続人の調査は、弁護士や司法書士に依頼しなくても、自分で行うことが可能です。
具体的には、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍を取得し、相続関係を確定させます。
戸籍法第10条の2により、相続人は正当な利害関係人として戸籍を請求できます。
市区町村役場で戸籍謄本や除籍謄本を取得し、婚姻・離婚・子の出生・認知などの記載を確認します。
これらを丁寧に追うことで、法定相続人を漏れなく把握できます。
ただし、誰が相続人になるかによって調査範囲は大きく異なります。
法定相続人の調査方法
相続人の立場によって、取得すべき戸籍や調査範囲が変わります。
それぞれ確認していきましょう。
兄弟姉妹以外が相続人の場合
配偶者や子、父母などが相続人の場合は、比較的シンプルです。
まず、被相続人の死亡時の戸籍を取得し、そこから順に過去へ遡ります。
出生時まで連続した戸籍を取得することが重要です。
現在戸籍、改製原戸籍、除籍謄本をすべて揃える必要があります。
戸籍を確認することで、婚姻歴や子の有無、代襲相続の有無が分かります。
子がいる場合は、その現在戸籍も取得し、生存状況や再代襲の有無を確認します。
このケースでは取得戸籍は比較的少なく、手続きも進めやすい傾向にあります。
また、近年は戸籍の広域交付制度により、本籍地以外の市区町村窓口でも戸籍を取得できるため、複数の自治体を回る必要がなくなり、相続手続きをより円滑に進めやすくなっています。
兄弟姉妹が相続人の場合
配偶者や直系卑属・直系尊属がいない場合、兄弟姉妹が相続人となります。
この場合、被相続人の戸籍に加え、父母の出生から死亡までの戸籍も取得する必要があります。
異父兄弟や異母兄弟も相続人となる可能性があるためです。
父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、双方を同じくする兄弟姉妹の2分の1となります。
さらに、兄弟姉妹が死亡している場合は、その子である甥姪が代襲相続人となります。
そのため、甥姪の現在戸籍も確認する必要があります。
取得すべき戸籍が多くなり、調査は長期化しやすい点に注意が必要です。
法定相続人調査の注意点
自分で調査する場合、いくつかの重要な注意点があります。
代表的なポイントを確認します。
兄弟姉妹の調査は難航しやすい
兄弟姉妹が相続人の場合、父母の戸籍まで遡る必要があるため、戸籍数が多くなります。
転籍を繰り返している場合は、複数の役場に請求しなければなりません。
戦前の戸籍が含まれる場合は、旧字体や手書き記載の判読が必要になります。
記載内容を誤って解釈すると、相続人の確定を誤る可能性があります。
また、異父兄弟などが判明した場合、連絡や協議が難航することもあります。
離婚歴があると対象者が増える
被相続人に離婚歴がある場合、前配偶者との子も相続人です。
離婚しても親子関係は継続するためです。
戸籍調査の過程で、家族が把握していなかった子が判明することもあります。
認知された婚外子や養子も法定相続人となります。
想定外の相続人がいると、遺産分割協議が複雑になる可能性があります。
行方不明者への対応
相続人の中に行方不明者がいる場合、全員の合意が得られないため協議は成立しません。
この場合、失踪宣告や不在者財産管理人の選任を家庭裁判所に申し立てる必要があります。
失踪宣告が認められると、その相続人は死亡したものとみなされます。
手続きには一定の期間や要件があり、法的判断が必要になります。
戸籍の取得には時間と費用がかかる
戸籍は本籍地のある市区町村で取得します。
転籍が多い場合は複数の自治体へ請求する必要があります。
郵送請求では往復の時間がかかり、すべて揃うまで数週間から数か月かかることもあります。
戸籍謄本は1通450円、除籍や改製原戸籍は750円の手数料が必要です。
戸籍数が増えると費用負担も大きくなります。
古い戸籍の読み取りは難しい
古い戸籍は縦書きや手書きで、旧字体が使われています。
記載を誤って理解すると、相続人確定に誤りが生じる可能性があります。
相続登記や金融機関手続きでは、相続人全員を正確に証明しなければなりません。
少しでも不安がある場合は、専門家に確認することが重要です。
まとめ
相続人調査は自分で行うことも可能ですが、相続人の範囲によって難易度は大きく変わります。
特に兄弟姉妹が相続人の場合や、離婚歴、行方不明者がいる場合は複雑になります。
相続人調査は相続手続きの基礎となる重要な作業です。
不安がある場合や複雑な事情がある場合は、早めに弁護士へ相談することを検討してください。
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