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投資信託を相続するときの流れ|注意点についても解説

投資信託を相続する際には、一般的な預貯金とは異なる特有の手続きや注意点があります。

特に価格が日々変動する性質上、遺産分割協議で揉める可能性があるほか、金融機関ごとに手続きが異なるため煩雑になりがちです。

投資信託の相続手続きの流れと、評価額の変動リスクや税務上の留意点など、法的・実務的なポイントを解説します。

 

投資信託の相続手続きの流れ

 

投資信託は民法第896条に基づき相続財産に含まれるため、被相続人が保有していた受益権は相続人に承継されます。

相続手続きの基本的な流れは、まず被相続人が投資信託を保有していた金融機関に死亡の事実を連絡し、残高証明書や評価証明書の発行を依頼することから始まります。

その後、相続人全員で遺産分割協議を行い、誰がどの投資信託を取得するかを決定します。

協議が成立した場合には遺産分割協議書を作成し、金融機関所定の相続手続書類とともに提出します。

必要書類には、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明書などが含まれます。

金融機関での審査が完了すると、名義変更または解約・換価の手続きが実行されます。

なお、証券会社や銀行ごとに提出書類や様式が異なるため、複数の金融機関で保有していた場合には手続きが煩雑になる点に注意が必要です。

手続き全体の流れを把握し、計画的に進めることが重要です。

 

投資信託の相続で問題となる評価額と価格変動リスク

 

投資信託は価格が日々変動する金融商品であるため、相続時の評価額と実際の分割時の価値に差が生じる可能性があります。

ここでは評価方法と価格変動に伴うリスクを整理します。

 

相続税評価額の算定方法

 

投資信託の相続税評価額は、相続税法第22条および財産評価基本通達に基づき、原則として相続開始日の1口当たりの基準価額に口数を乗じて算定されます。

具体的には、被相続人が死亡した日の基準価額を基準とし、その時点の評価額をもとに相続税申告を行います。

投資信託は日々価格が変動するため、評価時点を誤らないことが重要です。

 

価格変動による遺産分割トラブルのリスク

 

投資信託は市場動向により価格が変動するため、遺産分割協議が長期化すると、死亡時の評価額と実際の価値に差が生じる可能性があります。

例えば、相続開始時には1000万円だった投資信託が、協議中に大きく値下がりすることも考えられます。

このような場合、相続人間で不公平感が生じやすく、紛争に発展するおそれがあります。

公平性を確保するためには、死亡時の評価額を基準とするか、換価分割により売却して金銭で分けるかを早期に合意することが重要です。

 

金融機関ごとに異なる相続手続きと対応策

 

投資信託を複数の証券会社や銀行で保有していた場合、各金融機関で独自の相続手続書類や提出様式が定められているため、手続きが煩雑になります。

共通して必要となる書類としては、被相続人の戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明書、遺産分割協議書などがありますが、金融機関によっては独自の書類提出が求められる場合もあります。

相続手続きには一定の期間を要するため、早めに着手することが重要です。

事前に金融機関へ問い合わせを行い、必要書類を確認しておくことで、手続きを円滑に進めることができます。

なお、遺産分割協議が成立していない場合、金融機関は手続きを進めることができないため、まずは相続人間での合意形成が前提となります。

 

名義変更や解約時に注意すべきポイント

 

投資信託の相続では、名義変更や解約のタイミングによって税務上の取扱いが異なります。

ここでは主な税務上の注意点を解説します。

 

取得費の引継ぎと譲渡所得税の仕組み

 

投資信託を解約せずに名義変更する場合、被相続人が保有していた取得費や取得日が相続人に引き継がれます。

相続人が将来売却する際には、この取得費をもとに譲渡所得税が計算されるため、購入時の記録を把握しておくことが重要です。

取得費が不明な場合には、売却価格の5%が取得費とみなされるため、税負担が増加する可能性があります。

 

特定口座の取扱いと源泉徴収の注意点

 

被相続人が特定口座で投資信託を保有していた場合でも、相続により口座は一旦整理され、相続人名義の口座に移管されます。

源泉徴収の有無は相続人が選択することになり、選択内容によっては確定申告が必要となる場合があります。

税務上の影響を踏まえ、運用方針とあわせて慎重に判断することが重要です。

 

まとめ

 

投資信託の相続は、預貯金とは異なり価格変動や金融機関ごとの手続きの違いにより、複雑になりやすい特徴があります。

相続税評価額は相続開始日の基準価額を基準としますが、遺産分割協議が長引くと実際の価格との差が生じるため、早期の合意形成が重要です。

複数の金融機関で保有している場合は手続きも増えるため、事前に確認し計画的に進める必要があります。

必要に応じて弁護士に相談しながら進めることが望ましいでしょう。

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齋藤 理英(さいとう りえい)

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相続、自己破産、離婚、交通事故、一般民事など幅広い分野の法律相談を取り扱っており、依頼者の利益の極大化を第一に考えています。

経歴
1965年 東京都(新宿区)出身
1988年 日本大学法学部政治経済学科卒業
1988年 米国(カリフォルニア州サンフランシスコ市)留学
1989年 一般企業(コンサルティングファーム)に就職
1997年 最高裁判所司法研修所入所(第51期)
1999年 司法修習修了、弁護士名簿登録(東京弁護士会)
2009年 当事務所開設
役職、所属団体等
1998~2014年 日本大学法学部司法科研究室非常勤講師
1999年~ 東京弁護士会倒産法部会会員
2003年~ 東京弁護士会民事介入暴力対策特別委員会委員
2006年 東京弁護士会常議員(任期1年)
2006年 日本弁護士連合会代議員(任期1年)
2007~2009年 あずみ株式会社(名古屋証券取引所二部上場)社外取締役
2007~2010年 (公財)東京都暴力追放運動推進都民センター暴力追放相談委員
2009~2017年 東京弁護士会民事介入暴力対策特別委員会副委員長
2009年~ 事業再生実務家協会会員
2009年~ エステールホールディングス株式会社(東京証券取引所スタンダード上場)社外取締役
2012~2016年 (公財)東京都暴力追放運動推進都民センター不当要求責任者講習講師
2015年~ 株式会社ヴィレッジヴァンガードコーポレーション(東京証券取引所スタンダード上場)社外取締役
2015年~2019年 日本弁護士連合会民事介入暴力対策委員会委員
2017年~2019年 東京弁護士会民事介入暴力対策特別委員会委員長代行
2019年~2021年 東京弁護士会民事介入暴力対策特別委員会委員長
2019年~ 府中刑務所篤志面接委員
2019年~ 鎌ヶ谷市情報公開・個人情報保護審査会委員
主な講演
・社内不祥事発生の際の、社内調査の方法とその限界
・クレーマー対策について~最近の具体例から業種別の対応策
・不動産賃貸業における暴力団排除
・暴力団排除条例施行に伴う実務対応について
・半グレ等のいわゆるグレー属性の実態と対応について
執筆
反社会的勢力リスク管理の実務(共著)
暴力団排除と企業対応の実務(共著)
離婚・離縁事件実務マニュアル改訂版(共著)
反社会的勢力を巡る判例の分析と展開(共著)
反社会的勢力を巡る判例の分析と展開II(共著)
趣味
ゴルフ、読書、映画鑑賞、食べ歩き

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