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自己破産が認められるケースは?手続の流れと費用を解説

借金が膨れ上がり、どうにも返せないとなったら自己破産という方法があります。

自己破産すれば借金がゼロになるのですが、実際にはどのような手続が必要なのか気になる方もいらっしゃるでしょう。

また、その手続の費用がどのくらいかかるのかも気になります。

今回は自己破産手続の流れと費用について解説します。

 

自己破産が認められるには

 

自己破産するには、次の条件を満たしている必要があります。

 

支払不能である

 

支払不能かどうかは借金の額や財産の額、収入と支出などを総合して判断されます。

収入より借金が多くても、預貯金や評価額の高い不動産を持っていては認められません。

 

借金が非免責債権だけでない

 

非免責債権とは、自己破産をしても支払わなくてはならない借金のことで、次のようなものが挙げられます。

 

  • 税金
  • 国民健康保険料
  • 養育費
  • 飲酒運転による交通事故での損害賠償

 

これらはゼロにならないため、借金の内容が以上のようなものしかなかった場合は、自己破産する意味がないので認められません。

 

免責不許可事由に該当していない

 

自己破産が認められるためには、「免責不許可事由」に該当しないことが条件となります。

免責不許可事由は、次のような行動になります。

 

  • 差し押さえされないために身近な人に財産を譲る
  • 友人など特定の人にだけ返済する
  • 浪費やギャンブルでの借金
  • 嘘をついて借金をしていた
  • 帳簿の書き換えや隠匿
  • 債権者の数や名前をごまかしている
  • 裁判所の調査を拒否したり、嘘の申立をしたりしている
  • 破産管財人の業務を妨げる
  • 過去7年以内に破産している

 

その程度や内容にもよりますが、裁判所の裁量によっては上記に当てはまっても認められることはあります。

 

自己破産の手続と流れ

 

自己破産には次の3つの種類があります。

 

  • 同時廃止事件
  • 管財事件
  • 少額管財事件

 

管財事件は処分する財産が多い時の手続で、少額管財事件は財産を所有する個人事業主や自営業者、中小企業が該当します。

同時廃止事件は処分するほどの財産がなく、破産手続の費用が払えないほど困窮した状態が該当します。

破産手続の開始が決定するのと当時に手続が終了するため、費用と手続が少なくて済みます。

自己破産のほとんどがこの同時廃止事件に該当するため、同時廃止事件の手続と流れについて解説します。

 

弁護士に相談や面談をする

 

自己破産をするのに必ず弁護士は必要ではありませんが、その手続や書類の準備はかなり大変です。

借金の法定金利の計算、返済する金額の確定や、申立に必要な陳述書などの作成を代理で行ってくれるので、依頼した方がスムーズに進みます。

また、過払い金があった場合は、その請求も同時に行ってもらえます。

 

受任通知を発送する

 

受任通知とは自己破産の依頼を受けたことを、債権者に知らせる通知のことです。

弁護士が発送するもので、これによって債権者は自己破産手続が始まったことを知ることになります。

これを受けとった債権者は、債務者に直接取り立てをしてはいけないことが法律で決められているため、この時点で取り立てがストップします。

ほとんどの弁護士は依頼されたその日のうちか、翌日には発送してくれます。

 

借金総額を確定する

 

受任通知と併せて債権者に借金の残高を証明する書類を請求し、その情報から法定利息を計算し直し、借金の総額を確定します。

 

破産手続開始の申立をする

 

申立書に下記の書類を添付して、裁判所に提出します。

 

  1. 陳述書
  2. 家計簿
  3. 資産目録
  4. 債権者一覧表
  5. 住民票と戸籍謄本
  6. 給与証明などの収入が分かる書類
  7. 預貯金通帳のコピー

までの書類については、弁護士に依頼すると一緒に作成してくれます。

 

裁判官による面談が行われる

 

裁判所からの呼び出しにより、破産の原因や借金について詳しい説明を求められます。

弁護士に依頼した場合、この面談は弁護士が代理で行いますが、面談が省略されることもあります。

また、申立の当日またはその3日以内に行われる即日面談というものがあります。

即日面談で裁判官と面談できるのは弁護士だけで、申立した本人や司法書士はこれを行うことができません。

ただし、即日面談は東京地方裁判所だけでしか行うことができません。

 

同時廃止手続をする

 

面談で同時廃止が認められると、破産手続開始と同時廃止決定がなされます。

この決定は裁判所から債権者に通知され、官報に破産したことが掲載されます。

前項で解説した即日面談の場合は、その日の午後5時に破産手続開始と同時廃止決定が出されます。

 

免責が確定する

 

同時廃止決定から約2か月間、債権者は裁判所に異議申し立てをすることができます。

その間に異議申し立てがなければ免責許可が決定し、もう一度官報にその旨が掲載されます。

そこからさらに4週間後に免責が確定し、ここで自己破産の手続は終了です。

 

自己破産にかかる費用

 

自己破産の同時廃止事件にかかる費用は次の通りです。(東京地裁の場合)

 

  • 裁判所に支払う同時廃止手数料1,500
  • 官報掲載料11,859
  • 債権者への通知などに使う切手代4,200
  • 弁護士報酬20万円~

 

弁護士報酬は債権者の数によって値段が変わります。

また、依頼時に支払う着手金と、手続完了後に支払う成功報酬に分かれてこともあります。

 

まとめ

 

今回は自己破産手続の流れと費用について解説しました。

お金がないから自己破産をするのに、弁護士報酬が払えないという方もいらっしゃるでしょう。

しかし、専門家に依頼せず自分で手続をするのは非常に困難で、申立てが拒否されるケースも少なくありません。

弁護士報酬は分割で支払える場合もあるので、弁護士に相談することをおすすめします。

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齋藤 理英(さいとう りえい)

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「初回相談30分無料・御成門駅徒歩3分」齋藤綜合法律事務所は、お客様の立場にたったアットホームな法律事務所です。
相続、自己破産、離婚、交通事故、一般民事など幅広い分野の法律相談を取り扱っており、依頼者の利益の極大化を第一に考えています。

経歴
1965年 東京都(新宿区)出身
1988年 日本大学法学部政治経済学科卒業
1988年 米国(カリフォルニア州サンフランシスコ市)留学
1989年 一般企業(コンサルティングファーム)に就職
1997年 最高裁判所司法研修所入所(第51期)
1999年 司法修習修了、弁護士名簿登録(東京弁護士会)
2009年 当事務所開設
役職、所属団体等
1998~2014年 日本大学法学部司法科研究室非常勤講師
1999年~ 東京弁護士会倒産法部会会員
2003年~ 東京弁護士会民事介入暴力対策特別委員会委員
2006年 東京弁護士会常議員(任期1年)
2006年 日本弁護士連合会代議員(任期1年)
2007~2009年 あずみ株式会社(名古屋証券取引所二部上場)社外取締役
2007~2010年 (公財)東京都暴力追放運動推進都民センター暴力追放相談委員
2009~2017年 東京弁護士会民事介入暴力対策特別委員会副委員長
2009年~ 事業再生実務家協会会員
2009年~ エステールホールディングス株式会社(東京証券取引所スタンダード上場)社外取締役
2012~2016年 (公財)東京都暴力追放運動推進都民センター不当要求責任者講習講師
2015年~ 株式会社ヴィレッジヴァンガードコーポレーション(東京証券取引所スタンダード上場)社外取締役
2015年~2019年 日本弁護士連合会民事介入暴力対策委員会委員
2017年~2019年 東京弁護士会民事介入暴力対策特別委員会委員長代行
2019年~2021年 東京弁護士会民事介入暴力対策特別委員会委員長
2019年~ 府中刑務所篤志面接委員
2019年~ 鎌ヶ谷市情報公開・個人情報保護審査会委員
主な講演
・社内不祥事発生の際の、社内調査の方法とその限界
・クレーマー対策について~最近の具体例から業種別の対応策
・不動産賃貸業における暴力団排除
・暴力団排除条例施行に伴う実務対応について
・半グレ等のいわゆるグレー属性の実態と対応について
執筆
反社会的勢力リスク管理の実務(共著)
暴力団排除と企業対応の実務(共著)
離婚・離縁事件実務マニュアル改訂版(共著)
反社会的勢力を巡る判例の分析と展開(共著)
反社会的勢力を巡る判例の分析と展開II(共著)
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