遺留分
遺留分制度とは、被相続人(亡くなった方)の遺産の一定割合を一定範囲の相続人に保障する制度をいいます。
遺留分権利者は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈や遺留分の範囲にある贈与の減殺を請求することができます。(民法1031条)
この請求する権利を遺留分減殺請求権といいます。
現在では法律の改正によって、この遺留分減殺請求権は、遺留分侵害額請求権と名称が変更されました。
改正前の旧法下では、遺留分権利者が減殺請求をすると、請求された人は、取得した財産の遺留分に相当する分の財産を返還する必要がありました。
しかし、返還される財産は、取得したものをそのまま返還するという現物返還が原則となっていたため、遺留分権利者は、不動産での返還や現金での返還といった、返還される財産を選択することができませんでした。
法改正後は、遺留分権利者は遺留分減殺請求権ではなく、遺留分侵害額請求権として金銭での返還請求が可能となりました。
逆に、金銭での返還請求のみが採られるため、現物での返還請求は行われなくなります。
■遺留分の範囲
遺留分の範囲は、次のように計算します。
被相続人が相続開始の時に有した財産の総額-相続債務の価格(民法1029条)+民法1030条に該当する贈与+相続人に対する特別受益たる贈与
●1030条に該当する贈与
贈与は、相続開始前の1年間にしたものに限り、その価格を算入します。
また、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をした時には、1年前の日より前にした贈与であっても、価格を算入します。
●1030条の要件をみたさない相続人に対する贈与
贈与が相続開始よりも相当以前にされたものであって、その後の時の経過に伴う社会経済事情や相続人など関係人の個人的事情の変化をも考慮するとき、減殺請求を認めることが当該相続人に酷であるなどの特段の事情がない限り、遺留分減殺の対象となります。
なぜなら、そのような贈与も遺留分算定の基礎となる財産に含まれる以上、減殺の対象としなければ、遺情分相当額を確保できなくなるおそれがあるからです。
■遺留分の放棄
相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けた時に限り、その効力を生じます。(民法1043条1項)
共同相続人の一人がした遺留分の放棄は、他の各共同相続人の遺留分に影響を及ぼしません。(民法1043条2項)
齋藤綜合法律事務所は、東京都港区を中心に、一都三県(埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県)にて、遺言書作成、相続税、遺産分割、相続財産調査、相続放棄、遺留分減殺請求、財産目録作成など、様々な相続問題全般について法律相談を承っております。
相続問題についてお悩みの際はお気軽に当事務所までご相談下さい。
当事務所が提供する基礎知識
Basic Knowledge
-
後遺障害認定の事前認...
後遺障害認定の事前認定と被害者請求の違い■事前認定とは事故が発生すると、一般的には加害者側の任意保険会社が、強制加入である自動車損害賠償責任保険による保険料も肩代わりしてまとめて賠償金等を支払ってくれます。その際に、加害 […]
-
成年後見制度とは
■成年後見制度とは成年後見制度とは、判断能力が不十分な人(被後見人)に裁判所が指名した後見人をつけることにより被後見人を保護する制度をいいます。成年後見を受けていることは裁判所の発行する登記によって第三者に証明することが […]
-
限定承認
限定承認とは、簡単に言えば、相続によって得た財産の限度内でマイナス財産を承継するという手続きです。相続財産にはプラスの財産(不動産や預金など)とマイナスの財産(借金やローンなど)がありますが、マイナス財産がプラス財産を上 […]
-
調停離婚
調停離婚は夫婦の話し合いがまとまらない場合に、家庭裁判所の調停によって行われる離婚のことです。離婚全体の約9%を占めています。調停離婚では、離婚そのものに限らず、親権者・監護者、養育費、財産分与、慰謝料、婚姻費用、面接交 […]
-
離婚とお金
離婚に伴うお金の問題としては、財産分与や慰謝料、養育費、婚姻費用などがあります。財産分割とは、婚姻中に夫婦が取得した共有財産をそれぞれの下に分けることをいいます。慰謝料とは、離婚に至るまでの相手の行為による精神的苦痛への […]
-
子供の養育費
養育費とは、子どもを育てるのに必要な費用のことをいいます。大事なことは、養育費は別れた配偶者のために支払われるお金ではなく、あくまで子どもが持つ権利であるということです。養育費は、親であれば当然負担しなければいけないもの […]
よく検索されるキーワード
Search Keyword
弁護士紹介
Lawyer

齋藤 理英(さいとう りえい)
当ホームページをご覧いただきありがとうございます。
「初回相談30分無料・御成門駅徒歩3分」齋藤綜合法律事務所は、お客様の立場にたったアットホームな法律事務所です。
相続、自己破産、離婚、交通事故、一般民事など幅広い分野の法律相談を取り扱っており、依頼者の利益の極大化を第一に考えています。
- 経歴
-
1965年 東京都(新宿区)出身 1988年 日本大学法学部政治経済学科卒業 1988年 米国(カリフォルニア州サンフランシスコ市)留学 1989年 一般企業(コンサルティングファーム)に就職 1997年 最高裁判所司法研修所入所(第51期) 1999年 司法修習修了、弁護士名簿登録(東京弁護士会) 2009年 当事務所開設 - 役職、所属団体等
-
1998~2014年 日本大学法学部司法科研究室非常勤講師 1999年~ 東京弁護士会倒産法部会会員 2003年~ 東京弁護士会民事介入暴力対策特別委員会委員 2006年 東京弁護士会常議員(任期1年) 2006年 日本弁護士連合会代議員(任期1年) 2007~2009年 あずみ株式会社(名古屋証券取引所二部上場)社外取締役 2007~2010年 (公財)東京都暴力追放運動推進都民センター暴力追放相談委員 2009~2017年 東京弁護士会民事介入暴力対策特別委員会副委員長 2009年~ 事業再生実務家協会会員 2009年~ エステールホールディングス株式会社(東京証券取引所スタンダード上場)社外取締役 2012~2016年 (公財)東京都暴力追放運動推進都民センター不当要求責任者講習講師 2015年~ 株式会社ヴィレッジヴァンガードコーポレーション(東京証券取引所スタンダード上場)社外取締役 2015年~2019年 日本弁護士連合会民事介入暴力対策委員会委員 2017年~2019年 東京弁護士会民事介入暴力対策特別委員会委員長代行 2019年~2021年 東京弁護士会民事介入暴力対策特別委員会委員長 2019年~ 府中刑務所篤志面接委員 2019年~ 鎌ヶ谷市情報公開・個人情報保護審査会委員 - 主な講演
-
・社内不祥事発生の際の、社内調査の方法とその限界 ・クレーマー対策について~最近の具体例から業種別の対応策 ・不動産賃貸業における暴力団排除 ・暴力団排除条例施行に伴う実務対応について ・半グレ等のいわゆるグレー属性の実態と対応について - 執筆
-
・反社会的勢力リスク管理の実務(共著) ・暴力団排除と企業対応の実務(共著) ・離婚・離縁事件実務マニュアル改訂版(共著) ・反社会的勢力を巡る判例の分析と展開(共著) ・反社会的勢力を巡る判例の分析と展開II(共著) - 趣味
-
ゴルフ、読書、映画鑑賞、食べ歩き
事務所概要
Office Overview
名称 | 齋藤綜合法律事務所 |
---|---|
資格者氏名 | 齋藤 理英(さいとう りえい) |
所在地 | 〒105-0011 東京都港区芝公園3-1-4 中田ビル3階 |
連絡先 | TEL:03-5776-5921 / FAX:03-5776-5924 |
対応時間 | 平日9:30~18:00(事前予約で時間外対応も可能です) |
定休日 | 土日祝(事前予約で休日対応も可能です) |
アクセス | 都営地下鉄 三田線 「御成門駅」より徒歩3分 東京メトロ 日比谷線 「神谷町駅」より徒歩6分 都営バス 橋86系統・浜95系統 御成門(御成門小学校前)停留所 徒歩1分 |
